将来住まないなら最初から売却の出口を計算

不動産投資では、どのような結果を期待しているかを明らかにし、ゴールを設定しておくことが非常に重要です。

それを決めておかなければ、投資した不動産を適切に運用していくことが難しくなり、資産形成が遅れてしまいます。

これは、住宅ローンで不動産投資を始める場合にも、いずれ迎えるべき出口を見据えておき、売却の計画も事前に立てておくことが重要です。

本稿では、売却による出口ありきで、住宅ローンを不動産投資に活用する考え方について解説していきます。

投資には戦略が重要

株式投資にしろ、不動産投資にしろ、投資というものにはゴールを設定することが重要です。

ゴールを設定しておくと、そこから逆算して投資計画を立てることができ、失敗の可能性が低くなります。

例えば、株式投資であれば、売らずにいつまでも保有して配当をもらい続ける、値上がりしたら売って売却益を得るなどの戦略に分かれます。

売却を見据えるならば、売る価格をあらかじめ決めておくことが大切です。

そうしなければ、売るべき時に売れず、結局損をしてしまう可能性があります。

不動産投資も同じです。大まかに分けると、

 

  • できるだけ長く賃貸を続けて家賃収入を稼ぎ続け、賃貸できなくなったら立て替えるか、更地にして売却する
  • ある程度賃貸を続けたのちに売却して利益を確定し、賃貸経営の規模を徐々に大きくしていく

 

という戦略が考えられます。

これは、アパートローンで始める通常の不動産投資でもそうですし、住宅ローンで始める場合も同様です。

投資を始める時点で出口戦略を決めておけば、計画的に資産形成を進めることができます。

 

不動産は経年劣化します。

最終的に自分が住むのであれば、ずっと所有しているのもありですが、投資として考えているのであれば、いつかは出口を迎えなければなりません。

 

売却を出口戦略とする

賃貸をできるだけ長く続けるという戦略は、多くの人が不動産投資に抱くイメージかもしれません。

特に、住宅ローンを使っていることからも、それを売却するイメージがわきにくい人もいると思います。

しかし、効率よく資産形成を進めていくためには、不動産を売却することでポートフォリオ(投資している資産の内訳)を最適化することが重要です。

住宅ローンで不動産投資を始める際にも、どこかで売却することを見据えておくべきです。

あくまでも、住宅ローンを組んで居住用不動産を購入するというのは建前であって、実際には資産形成を目的としているのです。ならば、資産形成が効率よく進むように、売却も見据えておくことが大切です。

 

売却・繰り上げ返済の注意点

住宅ローンで購入した物件を、途中で売却して資産形成に活かすためには、売却の条件を押さえておく必要があります。

住宅ローンを組む場合、諸費用も含めたオーバーローンで長期返済を組むのが普通ですから、売りたくてもローンが残っている状態となります。

住宅ローンが残っている状態でも、売却すること自体は可能です。

実際、住宅ローンは長期で組むものですから、資産形成を見据えているかどうかにかかわらず、売却時点でローンが残っているケースがほとんどです。

住宅ローンを返済中の不動産を売るためには、売却と同時に住宅ローンの残債を一括返済することが条件となります。

これは、全額を返済しなければ金融機関の抵当権を抹消することができないためです。

したがって、物件を売却するためには、

 

  • 売却で得た資金によって、住宅ローンの残債を一括返済する
  • 売却で得た資金と自己資金を合わせて、住宅ローンの残債を一括返済する

 

のどちらかが必要であり、残債を一括返済できるだけの資金がなければ売却することはできません。

この点をよく押さえておかなければ、戦略通りの売却はできなくなるので注意が必要です。

もちろん、値下がりが激しい物件であれば、5年を超えて保有しているうちに物件価格が下がり、売却したときに赤字になり、売るに売れない状況になりかねません。

そうならないためには人気の立地に購入し、少なくとも値下がりしにくい物件、できれば値が下がらない物件を選ぶことが大切です。

当サイトの提携不動産業者ならば、出口戦略まで考えて物件を選定いたします。

売ってさよならの悪徳業者も多いので、業者選びは細心の注意を払ってください。

 

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出口は5年後以降

不動産を売却する戦略を立てる際のポイントは、売却を少なくとも5年目以降に設定しておくことです。

というのも、不動産を売却するとき、5年を境に課税率が大きく変わるからです。

その不動産の所有期間が5年以下であれば、課税区分は短期譲渡所得となり所得税と住民税を合計して39.63%が課せられます。

これに対し、所有期間が5年を超える場合には、課税区分は長期譲渡所得となり、所得税と住民税を合計して20.315%が課せられます。

このように、所有期間によって税率に2倍の差が生じるのです。売却を出口に見据える場合、5年以下で売却する場合には、せっかく利益が出ても約40%を税金で取られてしまうため、利益が得られにくくなります。

しかし、5年超で売却するならば、利益を得るのが容易になります。

したがって、不動産を売却するならば5年後以降を見据えておくことがポイントとなります。

5年後以降に売却する具体例

では、住宅ローンで購入した不動産を、5年後以降に売却する場合を考えてみましょう。ここでは、

 

  • 物件価格 3000万円
  • 諸費用 210万円(物件価格の7%と仮定)
  • 借入総額 3210万円(物件購入価格と諸費用をオーバーローンで全額借入れ)
  • 借入金利 1.2%
  • 返済期間 35年間
  • 家賃設定 月額12万円(年間144万円)

 

という条件で投資したものとします。

この時、経費や空室を考慮して10%の経費を見積もり、支払利息も考慮した場合に得られる税引前キャッシュフローは、年間で16万7402円となります。

入居者の支払う家賃がそのまま住宅ローンの返済に充てられ、その上でいささかの利益が得られます。

これを5年間継続すると、それまでに得られるキャッシュフローの合計は83万7010円です。

副業で20万円以上の所得があれば確定申告が必要となりますが、年間の税引前キャッシュフローは20万円未満ですから、確定申告と納税の必要はありません。

さて、5年後に不動産を売却するとき、物件価格が値下がりしておらず、3000万円で売れたとします。

この場合、買値も売値も3000万円であり、売却益が出ていないので長期譲渡所得も発生しません。

5年後時点では、住宅ローンは2750万3642円残っています。3000万円で売却して残債を一括返済すれば、249万6358円が手元に残り、これまでの賃料収入として得られた83万7010円と合わせると333万3368円となります。

つまり、住宅ローンを使うことによって、手元資金ゼロで不動産投資を始め、ローンの返済は入居者に肩代わりしてもらい、5年間にわたって運用した結果、333万3368円が得られたということです。

 

徐々に投資規模を拡大することも可能

この後は、住宅ローンを一旦完済しているのですから、再度住宅ローンを組んで不動産と購入して賃貸を始めることができます。

もちろん、5年間の運用期間中に、給与収入からお金を貯めていたならば、その貯金と5年の運用で得られた利益を手元資金としてアパートなどに投資し、投資規模を拡大していくこともできます。

いつまでも賃貸し続けるのも一つの方法ですが、効率よく資産を形成していくことを考えると、時に売却を通してポートフォリオを組み替えていく重要性が分かると思います。

最初は、住宅ローンによって一戸建てや区分所有で小規模な投資をするわけですが、やり方によっては確実に投資規模を拡大することが可能です。

ぜひ、住宅ローンで不動産投資を始める際には、出口戦略としての売却を検討してから取り組むことをおすすめします。

 

まとめ

不動産投資では、アパートローンと住宅ローンのどちらを利用する場合でも、出口戦略を考えておくことが非常に重要です。

出口戦略をしっかり考えて取り組む場合と、行き当たりばったりで取り組む場合とでは、資産形成の流れに大きな差が出てくることでしょう。

住宅ローンで不動産投資を始めるならば、最初はごく小さな一歩からのスタートとなります。しっかりと出口戦略を見据え、資産形成を加速させていくことを考えましょう。

 

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